国際経営コンサルタント 妹尾陽三オフィシャルサイト
妹尾陽三 ミルトス株式会社代表
いま思うこと
季刊「無教会」 編集後記から抜粋

 今回編集のテーマは『新たなる貧困』であった。(→本文はこちら)大塚久雄がかつて指摘したように「貧困」の定義と、それが私達の生と関わる中で与える影響力が及ぶ範囲はきわめて広くかつ深刻さの度合を増してきている。「心の貧しさ」は一見「生活の貧しさ」と無関係に見えて、根っこのところで密接に繋がり合っている事をまず抑えておきたい。事実『富ある者の神の国に入るは、ラクダの針の孔を通るかた反って易し』と全ての共観福音書に記されているように、「富める者」よりは「貧しき者」「弱き者」「虐げられたる者」への共感は、旧約の時代にまで遡るキリスト教徒が歴史を超えて共有する価値観といえる。『経済や社会科学はとても難しくて分からない』という声をクリスチャンの中でも耳にするが、この領域が私達の生き様に大きな影響を及ぼしている現実を目の前にして、これを一応理解することなしには「生きた」聖書の理解、ひいては神の経綸に対する洞察も又計り難くならざるを得ない。

 昨今は従来型の古典的貧困とは異なる形態での貧困が世界の潮流として現れてきており、その本質の解明に迫ってみた。

 一方大塚氏が三十年も前に予測したように、現代では「貧富の差に関わらず」、或いは「富んでいるが故に」もたらされる病理現象が私達の社会を悩ませてきている。私達クリスチャンはこの「意味喪失の時代」に如何なる意味を持たせ、『虐げらるるものの解放、沈めるものの向上』を『自主独立なるものの平和的結合』に向かって一歩一歩実現していく使命を信仰の先達から託されている事を忘れてはなるまい。先に召された本誌発行責任者、西村秀夫氏はその型であった。

 
略歴・活動紹介
論文・書籍・講演
いま思うこと
お問い合わせ
ホームに戻る
ミルトス株式会社
Copyright © Yozo Seo all rights reserved.